9月3日(土)・4日(日)に、生まれ故郷である横手市で「秋田CARAVAN MUSIC FES」を開催するシンガーソングライター高橋優さん。

秋田からJ2・J1昇格を目指して日々奔走する、ブラウブリッツ秋田代表取締役社長 岩瀬浩介。

2人の共通点は「秋田を元気に!」しようと、音楽とサッカーというそれぞれの方法で、同じ目標に向かって行動を起こし続けていること。
また、高橋優さんは若くして県外へ行き、逆に岩瀬は他県から秋田に移住しており、それぞれ違う地域を知っていることからこそ、秋田の魅力に気づいているとともに、反面、今の少子化や若者の人口流出など、秋田県が多くの課題を抱えていることに危機感を抱いている存在でもある。

そんな2人が、音楽とサッカーというジャンルの違いを超えてタッグを組み、秋田を盛り上げ、秋田のよさを全国にそして世界にPRしていこうと思ったことで、今回のスペシャルトークが実現しました。

前編はこちらをチェック!

高橋優 × 岩瀬浩介 スペシャルトーク(後編)

音楽とサッカー

岩瀬:私の知り合いで、日本人で初めてメキシコでプロサッカー選手になった方がいます。世界でどこを歩いても、サッカーと音楽ができればどこでも暮らしていける、そんなことを言っていました。共通言語と言った部分で高橋さんの曲の歌詞(福笑い)にもあるように、英語でなくて笑顔なんじゃないかな、と思いますね。

あれを聴いて確かにそうだと僕も思って。私が今まで感じていたのは、音楽とサッカーの共通部分について。サッカーは全世界に普及しているので一緒にパスを、いわば奏でるだけで同じ仲間になることができる。老若男女関わらず、ゴールという目標があるから心が通じあうという部分もありつつ、逆に音楽も同じように音色を奏でて、目を合わせあって、ゴールという最後まで一緒に弾くことで自然と通じ合える。そういった共通点を感じる部分もがあります。

高橋:僕がニューヨークで路上ライブをしたときに、今言われた「福笑い」という曲の内容を証明しようと思いました。「きっと世界の共通言語は笑顔だ」ということを証明しに路上ライブをしにいこうと、1泊3日の弾丸ツアーでニューヨークに行ったのですけれど、疲れているのと緊張があって僕が全然笑えなかった。「きっとこの世界は〜」と真顔で歌っちゃって。フラッグに英語で歌詞の意味を書き、それを背負って歌っていたのですけれど、歌っている意味はわからなくともこういうことを言いたいんだろう、と受け取ってくれたニューヨーカーの方が、嫌な意味ではない笑顔、見ていてほっとするような笑顔をこちらに見せてくれて、ずっと曲を聴いてくれていた。その優しい笑顔にこちらが「よかった」と思い、自分がちょっと笑顔になるということがありました。歌い終わって気がついたら、逆に自分自身が「世界の共通言語は笑顔だ」ということを教えてもらっている。伝えにいったはずが受け取って帰ってきてしまったので、ある意味では自信をなくし、でも別の意味では「やっぱりそうなんだ」という自信になった部分がありました。僕は歌詞を書くのでメッセージがあったりするのですけれども、たった一言のキーワードでだけで通じ合えたり笑い合えたりするというのは、もしかしたらボール1個でわかり合えたり通じ合えたりすることと似ているのかな、と思います。

岩瀬:一つお伺いしたいんですが、歌手の方の歌詞をそれぞれの方々が、それぞれの観点の中で、それぞれの立たされた状況の中で読む。こういった意味かなって考えたりしますよね?あれっていうのは、やっぱり答えがあるものなんですか?それとも、それぞれの観点のなかでどう捉えられてもいいような感じなんですか??

高橋:自分の中ではある場合が多いですね。でも、押しつけにならないようにしたいと思っています。「福笑い」にしても、これは誰を思ってこういう意味で書いたんですと説明しすぎると、説明できるなら歌わなくてよくなるという気がしてしまう。音楽というのは皆で歌ったり、カラオケで歌ってちょっと仕事で疲れた思いを発散したりとか、そういう受取手の人のものになっていくべきだと思っている部分があります。それを考えたときに、あまり歌い手が意味を主張しすぎるのはある種の危険が伴うのかな、と。答えはあっても秘めておくことの方が多いです。
負けた試合を観客席の人に最悪なものを見せてしまったという話し、僕は「クールランニング」というボブスレーの映画がすごく大好きなんです。あの映画は、何もやっていなかった人たちが一つの競技に目覚めて練習しオリンピックに出場するのだけれど、あまりいい結果を残せずに終わる、という内容で、実話に基づいているストーリーです。僕はあの映画は負けてなおエンターテイメントっていう映画だなと思ったんですよ。人間ドキュメントというか。もちろん、スポーツは勝つに超したことはないと思うのですけれど、人を好きになるとその人が負けているところもまた見守るようになったりしていくのかなというのは、スポーツをやらない自分の甘っちょろい考え方かもしれないんですが。
楽曲を書く上で一番気をつけていることは、勝利者の目線みたいなものになって書かないようにしようということです。金メダルを取る人はたった1人しかいないけれども、メダルを取れない人は何百万人、何千万人いる。取れないというか、取ろうとも思わない人もいるかもしれない。音楽というのは、どちらかというとvictoryよりもloserの気持ちの方が、元気になる起爆剤みたいなのが隠れている気がしますね。悔しさとか。

岩瀬:確かに、音楽というのはそういう曲の方が多いかもしれないですね。8割、9割のものに目を向けた曲とか。頑張れっていう前向きな曲の方が多い。

高橋:そういう意味でも、僕は今の秋田県って見ていてわくわくするんです。秋田県は別に何かに負けたとかいう話しではないんですけれども、隣の岩手県にちょっと比べられたりとか、僕もどこかに行くと「青森県出身だよね」と間違われたりとか。他県の方からすると一緒にされちゃったり、ちょっと悔しい思いっていっぱいある。でも、美味しい食べ物、ほうれん草もそうだし、きりたんぽもそうだし、潜在能力的なものは秋田県に満ちあふれていて、あとはこれをどうやって外に発信するか、という状況だと思います。

岩瀬:先日、私は高橋さんの出身大学がある札幌に仕事で行った時、すごくそれを感じました。秋田県って観光が点在していると言われていて、大館のきりたんぽ、男鹿のなまはげ…と、交通の便が悪いなんて言われますけれども、北海道は空港について札幌までの移動時間が約1時間。1800円の海鮮丼を食べても象潟で食べた方が美味しかったな、とか思ったり。
そう考えると、ブランド力というか出し方、ブランドの作り方なんだろうというのをすごく感じました。秋田には可能性しか逆にないんじゃないかな、と僕は思っています。

高橋:僕もそう思います。北海道って自分のいいところを知っているといると思っています。「地産地消の北海道」という言葉をよく聞いたのですけれど、音楽も北海道発の音楽って、札幌だけで十分日本に通用するというか、札幌で一旗揚げられない人は全国いっても上げられないというぐらい激戦区だったりする。で、食べ物もそう。エンターテイメントも大泉洋さんとか、ローカル番組だけで成立していて面白い。「北海道共和国」ができるんじゃないかと大学時代の友人が噂で言っているぐらい。その強みが強みとして成り立っているのは、自分たちの強さを知っているというか、自分たちのよさを理解しているからだと思うんですよ。
これは音楽でも言えることだと思っていて、自分はこれを見せたいというものがない人の歌と、これを見てくれよと必死で歌っている人の歌って全然届きかたが違うと思う。秋田県に住んでいる人たちが秋田弁を誇って話したりとか、秋田の食べ物をお土産で買っていったりとか、自分たち、僕たちがもっと自信を持って秋田県出身だと言うこと、秋田県在住だと言うことって結構大事なんだと思うんですよね。

岩瀬:私は実は茨城の鹿島の出身なんです。「どこの出身ですか」と問われると、わざと「茨城の鹿島」と鹿島まで付けて話すんです。「茨城です」と言うと、水戸納豆とか水戸黄門だとか言われますが、茨城の“鹿島”まで言うと「サッカーの鹿島アントラーズがあったよね」と言われます。あの一言で自分のふるさとにどれだけ誇りを持てたかということです。高校を卒業し県外に行ったときに初めて理解することができ、自分の地元を知ってもらっているってすごいことだな、と自信になりました。今回、大曲工業高校が全国高校野球選手権大会に出場しましたが、例えば、秋田県の高校が優勝したとなれば秋田県の人たちは県外に出たときに自分の出身地を「秋田県です」と、「今年甲子園で優勝しましたよね?」なんて言われて、自分の母校のように胸を張って「そうです!」って言うと思うんですよね。僕は秋田に今必要なのは、そういった県民の皆さんが県外に秋田を誇って胸を張って言える何かが必要なんじゃないかと思います。

高橋:イケてる秋田県を出していきたいですよね。
サッカーと音楽というのはそういう意味でも起爆剤になり得るものだと思っています。

岩瀬:実は、ちょっと前にラジオで、高橋さんの「秋田 CARAVAN MUSIC FES」をやる意義をお聞きしたんですよ。これって我々と志しは同じなんじゃないかということを感じ、何かお手伝いができればと思っていたところで、今回「秋田CARAVAN MUSIC FES」実施に当たり全面的に協力をさせていただくことになりました。

高橋:うれしいですね。しかも、ブラウブリッツ秋田の応援の音楽(チャント)で「オモクリ監督~9時過ぎの憂鬱を蹴飛ばして~」を歌っているという。レッツゴーレッツゴーという歌詞で歌ってくれていると。こんな嬉しい話はないですよ。

岩瀬:ゴール裏のコアなサポーターの方々が歌っているんですけれども、非常にわかりやすいのでメインスタンドの人たちも手を叩いて一緒に応援してくれています。サポーターには逆に感謝ですね。

高橋:サッカーの試合に音楽が持ち込まれることってある気がしています。気分が高揚したり、もしかしたら選手の皆さんをも高揚させるためなのかもしれないですけれども、客席では常に音楽(チャント)が流れていて、ドンドンという音だったりリズムも音楽の一つです。僕の楽曲も含めて歌ってくださっているのは間違いなく音楽じゃないですか。でも、「秋田 CARAVAN MUSIC FES」は音楽の方にサッカーがやってきてくれるという。このケースはなかなかない。当日が楽しみで仕方がないです。

2人のトークの様子を少しだけ動画でお届け!テキストでは未掲載のシーンです!

高橋優 主催「秋田CARAVAN MUSIC FES 2016」

9月3日(土)・4日(日)の2日間にわたり「グリーンスタジアムよこて」で行われる、秋田県横手市出身 高橋優さん主催の野外音楽フェス「秋田CARAVAN MUSIC FES 2016」に、ブラウブリッツ秋田が全面協力!

当日は選手が応援に駆けつけるほか、ブースを出店予定です。
現在、前売り券の販売を行っておりますので、ぜひご購入の上ご来場ください。

日時

9月3日(土)・4日(日)
開場10時、開演12時、終演18時(予定)

場所

グリーンスタジアムよこて(横手市赤坂字大沼沢48)

チケット

1日券(ブロック指定):8,640円(税込)
2日通し券(ブロック指定):15,780円(税込)

プレイガイド

ローソンチケット

インターネットで購入・お電話で購入:0570-084-002(Lコード:22158)

チケットぴあ

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