2020シーズンのBB-PRESSに掲載した「城東スポーツ整形クリニック×ブラウブリッツ秋田 栄養ワンポイント」を、バックナンバーとして掲載します。

身体は食べた物からしか作られない/2020年9月16日号

執筆:阿比留朋(ブラウブリッツ秋田 管理栄養士) 監修:長嶋智子(JSPO公認スポーツ栄養士)

ブラウブリッツ秋田・管理栄養士の阿比留朋です。今号から12月までの6回にわたり、城東スポーツ整形クリニック・公認スポーツ栄養士の長嶋智子さんと一緒にスポーツ活動を支える食事・栄養について、情報を発信します。強い身体を作るために、元気で活力のある毎日を過ごすためにお役立ていただきたいと思います。

『身体は食べた物からしか作られない』と言われるように、骨や筋肉はもちろん、血液、内臓など人間の身体はすべて食べた物でできています。また、勉強したり、仕事したりする時のエネルギー源も食事から作られます。さらに、スポーツ選手は身体を動かすためのエネルギーがより多く必要になります。スポーツで勝つための強い身体を作るためにも、『1日3食欠かさずに食べること』、この食習慣を毎日積み重ね、継続していくことが食事の基本です。

写真は、選手の自宅の食事です。サッカーは正確なパス回しやシュートする瞬発力と筋力が重要です。また、試合時間も長く、最後までスタミナを維持する持久力も大切です。「栄養バランスのよい食事」が選手の日々のパフォーマンスにつながっています。

試合に向けた食事戦略1/2020年9月29日号

執筆:長嶋智子(JSPO公認スポーツ栄養士) 協力:阿比留朋(ブラウブリッツ秋田 管理栄養士)

スポーツ選手が試合で最大限の能力を発揮するために、試合前に意識したい食事のポイントをお伝えします。

(ご飯をたくさん食べられる工夫として、丼ものにしてもよいでしょう。)

試合前1週間の食事

練習で傷ついた筋肉の修復や疲労回復のため、主食(ご飯、パン、めん類等)・主菜(肉、魚、卵、大豆製品等)・副菜(野菜、海藻、きのこ等)・乳製品・果物を揃えた食事を心がけます。

試合2、3日前~前日の食事(競技種目により考慮)

1.糖質を増やす

運動中の最も大切なエネルギー源であるグリコーゲンの体内貯蔵量を試合前までに高めます。食事全体のバランスは大きく変えないまま、グリコーゲンとなる糖質を多く含む主食と果物を多めに、おかずや野菜、乳製品を少なめにします。おにぎりやカステラ、バナナ、ゼリー飲料など補食にも糖質を増やします。

2.脂質を減らす

前日の夕食から、天ぷらやフライ、カツなどの揚げ物、こってりソースの料理、生クリーム・バター・マヨネーズをたっぷり使った料理など脂質が多く消化に時間がかかるものは控えます。

3.生もの、香辛料を避ける

食中毒の恐れがある刺身などの生魚や生ハムなどの生肉を避け、食材は火を通して食べます。香辛料のような刺激物は胃腸に負担をかけるため注意が必要です。

試合に向けた食事戦略2/2020年10月14日号

執筆:長嶋智子(JSPO公認スポーツ栄養士) 協力:阿比留朋(ブラウブリッツ秋田 管理栄養士)

  • エネルギー源になる糖質を中心に食事や補食を摂り、初めて口にするものは避ける
  • 試合開始の3~4時間前に食事を済ませ、1時間半~2時間ほど前をめどに補食を摂る
  • 試合中もインターバルを利用して、糖質と水分の補給をこまめに行う

※練習試合などでも試して、自分にあった試合当日の食事法を見つけましょう

試合時間から逆算して計画を立てていきましょう(例.13時試合開始)

増量・筋力をつける/2020年10月27日号

執筆:阿比留朋(ブラウブリッツ秋田 管理栄養士) 監修:長嶋智子(JSPO公認スポーツ栄養士)

スポーツ選手にとって身体を大きくするというのは単に体重を増やすことではなく、体脂肪の増加を抑えながら筋肉量を増やすことです。筋肉量の増加は筋力の増加につながり、競技力を向上させます。

筋肉増量時の食事のポイント

1.摂取エネルギーを増やす

1日の生活・練習やトレーニングなどで消費するエネルギーよりも食事による摂取エネルギーを多くすることが大切です。体重を毎朝(起床排尿後)測定し、体重が減っている場合は食事量を増やします。

2.食事の回数を増やす~間食や補食を上手に利用~

一度にたくさん食べきれない場合は、間食や補食で食事の回数を増やします。食事と食事の合間、運動の前後など1日に何食かに分けて食事を摂り、必要エネルギー確保に努めます。

3.筋肉の材料「たんぱく質」を十分にとり、炭水化物も一緒にとる

たんぱく質(肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、乳製品)を3食の食事で十分にとります。1日に必要なたんぱく質の量は「体重(kg)×1~2g」(体格や競技種目により配慮)が目安になります。肉類や魚介類だけに偏ることなく、大豆・大豆製品なども取り入れ、バランスよく摂るようにします。筋肉を維持・増加させるためにはたんぱく質とエネルギー源が不足しないよう炭水化物(ご飯、パン、めん類など)を必ず組み合わせましょう。

4.食事のタイミングも大切

体内のたんぱく質合成には食事をいつ食べるか、タイミングも大切です。運動後は時間を空けずにできるだけ早く食事を摂りましょう。補食は練習前に炭水化物(おにぎりやバナナなど)、練習後にはそれに加え、たんぱく質(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)を摂ると筋肉量増加に効果的です。

身長を伸ばす/2020年11月10日号

執筆:長嶋智子(JSPO公認スポーツ栄養士) 協力:阿比留朋(ブラウブリッツ秋田 管理栄養士)

身長は赤ちゃんの時(第一次性徴)と思春期(第二次性徴)の2回急激に伸びます。思春期の急激な身長の伸びは「成長スパート」と呼ばれ、個人差はありますが、男子では13歳、女子では11歳頃です。この成長スパート期を迎える前と迎えてからをどう過ごすかで、身長の高さが決まってきます。

(写真は選手の朝食から。見た目もおしゃれなワンプレート、栄養バランスも満点です。)

成長スパート期に意識したい食生活

1.エネルギーを十分にとる

成長スパート期前後にスポーツ活動をしている子どもの食事の必要量は大人と同様かそれ以上になります。子どもは大人よりも胃の容積が小さいため、3食の食事のほかに補食(間食)を加えることで食事量を確保します。1日のスタートとなる朝食からしっかり食べることが成長期の子どもにとって大切な習慣です。

2.骨の栄養をしっかりとる

カルシウム:牛乳・乳製品や小魚・骨ごと食べられる魚、大豆・大豆製品、青菜などに豊富です。乳製品および大豆製品は一緒に摂った食品中のカルシウムの吸収率を促進します。吸収率の低い食品(野菜や海藻類)は一緒に摂ると良いでしょう。

ビタミンD:腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。魚介類、卵類、きのこ類が補給源です。日光に当たることにより皮膚でも合成されますが、紫外線量の少ない冬は食品から積極的に摂取することが大切です。

ビタミンK:カルシウムの骨への沈着を助ける栄養素です。納豆、青菜、鶏肉に多く含みます。体内で腸内細菌でも作られるため、バランスの良い食事で腸内環境を整えることも大切です。

たんぱく質:骨はたんぱく質の1つであるコラーゲンとカルシウムが主な材料です。カルシウムはたんぱく質と一緒に摂ることでより効果が高まります。

3.「よく動き、よく食べ、よく寝る」

骨の成長には、食事だけでなく運動や睡眠も大きく関わります。骨は刺激を与えることで、伸びるため、運動の刺激は成長スパートに良い効果を与えます。また、骨を伸ばしたり、たんぱく質合成を進めたり、筋肉の発達を助けたりする「成長ホルモン」は深い眠りの時に多く分泌されます。成長ピーク前後には8~10時間の睡眠を取るようにしましょう。

オフシーズン(オフトレーニング)期間の食事/2020年12月1日号

執筆:阿比留朋(ブラウブリッツ秋田 管理栄養士) 監修:長嶋智子(JSPO公認スポーツ栄養士)

サッカーはシーズン終了が近づいてきました。最終号は、オフシーズン(オフトレーニング)期間の食事についてお伝えします。

オフシーズンは心身の休息を図る期間であり、次のシーズンに向けた準備期間になります。オフシーズンの過ごし方によって、次のシーズンにも大きく影響します。シーズンが始まった時に、すぐにトレーニングに入れるようコンディションを整えておきましょう。

体重の増加に注意

オフシーズンはシーズン中に比べ、活動量が少なくなり、必要エネルギー量も減少します。シーズン中と同じ内容・量の食事を摂っていると、体重や体脂肪の増加につながります。特にこれからの季節はクリスマスやお正月などイベントも多く、食べ過ぎてしまいがちです。定期的に体重測定をして、食べ過ぎていないかを確認することが大切です。特に、脂質の摂り過ぎには注意し、身体の材料となるたんぱく質やミネラル・ビタミンは不足しないようバランスの良い食事を意識しましょう。

嗜好品はほどほどに!

お菓子の食べ過ぎやお酒の飲みすぎは体脂肪の増加につながります。これら嗜好品は心のリフレッシュとして、適度な量でうまく付き合うようにしましょう。お菓子を選ぶときは栄養成分表示を見る習慣を付け、200kcal程度に抑えましょう。お酒は純アルコール20g程度(ビール500ml、日本酒1合、酎ハイ350ml)を目安にし、休肝日も設けましょう。

生活リズムを崩さない!

生活リズムの乱れは免疫力の低下や疲労の蓄積につながります。決まった時間に食事を摂ることで、体内時計を整え、生活リズムを保つことができます。特に決まった時間での起床や朝食を意識しましょう。