12月26日(月)、あきぎんスタジアムで2017シーズン指揮を執る杉山弘一監督の就任会見を行いました。

岩瀬浩介 代表取締役社長兼 強化部長

この度ブラウブリッツ秋田の新監督として杉山弘一氏を招聘いたしました。

我々が目指しております「アグレッシブで攻撃的な、観ている方々がワクワクする、躍動感の溢れるサッカー」をこれまで築いてきました。

今季はそれが結果として表せた一年になりましたが、我々の上にはまだ3チームいるのも現実です。J2規格以上のスタジアムがなく、優勝してもJ2に昇格はできないにせよ、その機運を高めるためにも結果が必要となります。

改めて今期チームの順位こそが全て、特にスタジアムについて動かしてきた原動力になったことは間違いありません。

来季のJ3リーグのレギュレーションは2位以上が自動昇格となっています。少しでもその順位に近づくためには、更なる成長が必要になってくると思っております。

高い山に登れば見える景色も違います。高い山に登れば装備も変わってきます。高い山に登れば死というリスクも生じてきます。そもそも高い山に登るためには、体力や知識、能力が必要になります。上位に立つというのはそれと同じようなことだと思っております。下からはどんどん上を目指し上って引きずりおろそうと鬼の形相で来るチームがあり、それに耐えるだけの装備を身に付けなければなりません。すなわちそういった強固な選手らが必要になります。また上位を負かす、さらには上位に立った時に追われる立場の中で勝ち続けられる精神力も必要になってきます。

クラブとしてそういった選手らを引き続き育て上げられる監督が必要であると感じた次第です。これまで作りあげてきた積み重ねを、さらに杉山監督がエッセンスを加え、新たな時代で新たな歴史を築いていただきたいと思っています。

勉強でよく使われる傾向と対策という言葉があります。これまでのクラブづくりの中で私自身強化も務め、様々なことを学ぶ中で、真はぶらさずに年間を通して成長をし続けられるチームが上位にいることを強く学んできました。
そのためには、選手自身も日々成長をしていかなければならないですし、その積み重ねがチームの年間を通した成長につながるものと思っております。
それを成し遂げる上で全員、言わば監督、スタッフ、選手、クラブスタッフ、全ての人間が高い人間力を持ち、そして高い志と向上心、そして何よりも勝利に対するどん欲さ、そのすべてを兼ね備えていなければなりません。そしてそのトップに立つ監督は一番の熱量を持っていなければならないと思っています。
今回招聘した杉山監督は、そのすべてを持っている監督だと感じました。また先ほどお話しした勉強で言えば傾向と対策、サッカーで言えばトレンド。そのトレンドを読み解く能力に長けている方であると私は感じております。
海外の不十分な環境下でも創意工夫を凝らしチームに落とし込んできたその能力とハングリーさを活かし上位進出を目指していきたいと思っております。

新生ブラウブリッツ秋田をお楽しみいただければと思います。

杉山弘一 監督

こんにちは。2017シーズン、ブラウブリッツ秋田監督をやらせていただきます杉山といいます。

この日本で、Jリーグで、秋田という街で監督を始められることをすごくうれしく思います。今日が僕にとって初めての仕事になるんですけれども、今日、今、感じている自分の情熱、テンションを、最後の1日まで変わらず持ち続けて仕事をしていくつもりでいます。どうぞよろしくお願いします。

質疑応答

ブラウブリッツ秋田に対しての印象と、それに対しどういったエッセンスを加えていきたいか?

今シーズンの秋田の試合を録画で何試合か見ました。間瀬監督の下、とても行動的で粘り強く、いいサッカーをしているなと思いました。選手だとかスタッフとかとまだ会っていないのでどうしていくかというところは今詳しくは言えませんけれども、いいものは続けていきながら変えれるところを変えていく。まずは、チームが「勝つ」ということ、勝つためにどうしていくことが1番ベストなのかといことを考えていきたいと思っています。

間瀬監督は全員力を大切にしたいとシーズン当初に言っていた。どんな力を大切にしたいと思うか?

システムもそうですしスタイルもそうですけれども、どういうやり方も正しいと思っていて、ただ大事なのは選手、スタッフ、サポーター、このブラウブリッツ秋田に関わる皆が同じ熱で同じ方向を向いて進んでいくということだと思うし、そういう組織って絶対強いと思うんですよね。なので、そういうことを皆に伝えていきたいですし、そういうチームにしていきたいと思っています。

今J2ライセンスがない中で、スタジアム整備の問題もある。秋田の気運を盛り上げていくことが大切となるが、この上がってきた熱をさらにどう盛り上げていきたいか?

僕ができることというのはやはりピッチでの仕事が中心となってくるので、今ライセンスの問題ということもありますけれども、そこには全く何の問題も感じていなくて、このブラウブリッツ秋田に関わる皆さんが一生懸命そこのところは動いてくださっていると思うので、僕はできることは協力していく、それからいいサッカーをして勝ち続けることが僕ができる1番の貢献なのかなと思っています。

雪国秋田ということで練習環境が変わると思うが、どういう風な工夫をしていきたいか。

幸いにも、コーチが残ってくれる。菅原太郎、太田渉。そのほかにもコーチが何人かいるので今までどういう風にやってきたのか、どういうことが起こってきたのかということを話しながら、選手とももちろんコミュニケーションをとりながら、1番いい方法をとっていければと思います。

秋田の印象は?

以前に田沢湖の近くの温泉に家族で行ったことがあって、すごく自然がたくさんあってそれから食べ物がとてもおいしくて、人が温かくて、ものすごくいい印象を持っています。昨日、秋田に入ったんですけれども、昨日、今日と、たまたまかもしれませんけれども、すごくいい天気ですよね。なので、すがすがしいスタートが切れるなという印象を受けています。

これまで海外で監督をしていて、日本での監督は初めてとなる。決め手となったのは?

契約までに岩瀬社長と何度か話しをさせていただいて、このブラウブリッツ秋田というチームがJリーグのクラブの1つとして、これからもっともっと大きく羽ばたいていくんだという印象を受けたんですね。そこに僕は少しでも力添えをできる。そういうところがこのチームでやろうと思ったきっかけです。

海外での経験はどう活かしたいか?

海外だと英語を使ったりだとか、タイだとタイ語を使ったりだとか、コミュニケーションの問題でなかなか伝わらない部分があります。幸いにも日本語が指導ができるので、たくさんコミュニケーションをとっていきたいなと思っています。サッカーをやっているとどうしてもボールに目が行ってしまいがちで、周りが見えなくなってしまうということがあると思います。なので、例えば海外のサッカーだとか、海外のサッカー傾向に興味があるような人がいたら、そんな話しもしてちょっと視点を変えたサッカーの見方ができれば、また自分たちがやっていることを再度見直していけるのかなと思っています。ただ、基本的には国が違っても、カテゴリーが違っても、サッカーは同じだと思っていますので突き詰めていくことは変わらないかなと思います。

以前、「ボールをキープすることが勝利につながる」と話したことがあるようだが、どのチームに行ってもそうか?

いえ、それだけに重視するということはあまり思っていなくて、サッカーはやはり色々なやり方があると思います。なので、これからJ3のサッカーがどういう傾向になっていくのか、それから他のチームがどういうチームなのか、我々のチームはどういう選手が集まっているのかということを考えながら、1番勝つためにあったやり方を考えていきたいと思います。ただ、ボールポゼッションするということも1つの手段だし、システムとかやり方が違ってもスペースを意識していくだとか、全体をコンパクトに保つだとか、そういう共通なことってたくさんあるので、ボールをうまく扱う、それから奪われないようにするというのも1つの手段だと思っているので、そこをあまり大きく考えすぎるということはないと思います。

「今思っている情熱を最後まで」とのことだったが、その情熱を具体的に言うと?

感情的な話しですけれども、今すごくやりがいを感じているんですね。どこから来た人間なのかもひょっとしたらわからないという方もたくさんいらっしゃる中で、これだけのたくさんの方がこうしてきていただいて、「あぁ、これ頑張らないと」という気持ちにすごくなっています。そんな思いをどんなときも、最後まで必ず続けていきたいなと思っています。

2016シーズンは過去最高の4位を記録した。それに対して。

まずやはり、サッカーの監督としてリーグで戦う以上、できるだけ多くの勝ちを目指すべきだし、できるだけ上位を目指すべきだと思っています。もちろん、今シーズン4位になったということは素晴らしいことだと思うし、意識もしなければならないと思います。ただ、まずは、勝つためにいいサッカーをすること。1つ1つの試合を、順位というのはたぶん1年間の結果であると思うので、1年間を見過ぎるのではなくて、目の前の1個1個の試合を、とにかくいい試合をして、また修正して、勝てるようなことを続けていきたいなと思います。

経歴で、タイでは2ヶ月ごとに変わっていることがあるが?

タイのリーグというのは、1年に5人監督が替わったりするんですね。タイの社長さんだとか、テクニカルダイレクターの方が、力を持っているクラブが多くて、グラウンドに来ていろんなことを言ったりするようなクラブが多いと考えてください。そんな中で、監督が替わるというのは結構日常あることなので、その1つだと思っていただければいいと思います。特に僕が何か問題を起こしたとかそういうことはないので(笑)。

影響を受けた指導者や、指導者を目指す原点の方がいれば?

10年選手をやっていた中で、何人かの監督と出会いました。浦和レッズ時代にオジェックというドイツ人の監督がいました。それまで浦和レッズはなかなか勝てなかったんですね。でもみんな一生懸命頑張っていました。誰も手を抜いてなかったです。でも勝てなかった。ただ、そのオジェックという監督が、今思うとすごくシンプルな、しっかり守って早く攻めるっていう戦術をとったんですけれども、何を頑張るかを明確にしたことで3位になったんですね。なのでやっぱり、どう頑張るかということを明確にするかということはすごく大事なんだなとそのときに思いました。それは、僕の中ですごく印象に残っています。

グルージャ盛岡でヴェルディ川崎で一緒だった菊池利三監督が指揮を執る。偶然のタイミングを感じるか?

菊池利三も一緒にプレーをした仲間だし、それから田坂(和昭/福島ユナイテッドFC)だとか、原田武男(ギラヴァンツ北九州)も監督をやりますよね。彼らとも同い年なので、選手時代に一緒にプレーをしたことが何度かあります。なので、そういう仲間とまた一緒にJリーグを戦っていけることはすごくうれしく思いますし、負けられないように頑張らないといけないと思います。

今まで会見の中で話があったが、あえてキャッチフレーズやキーワードがなものがあれば?

今僕はそれを決めることはできないですけれども、ネットでちょっと読んだ文章で秋田の方々の県民性が、ひと言では言えないとは思いますけれども、誠実であって、粘り強くて、そして行動的である、というのがもし県民性であるとすれば、我々ブラウブリッツ秋田のサッカーにいつも誠実でありながら、どんなときも粘り強く、そして行動力のあるサッカーをしていきたいと僕自身は思っています。ただ、キャッチフレーズのようなものは僕が決めるべきものではないので、今発すべきではないなと思っています。