6月30日(木)、秋田県庁県政記者室にて、Jリーグクラブライセンスについての記者会見を行いました。

ブラウブリッツ秋田 代表取締役社長 岩瀬浩介

本日は月末のお忙しい中、急なご案内にも関わらずお集まりいただきありがとうございます。また、日頃よりブラウブリッツ秋田にご協力をいただき、重ねて御礼申し上げます。

さて、皆様は既にご存知のことと思いますがJリーグでは各カテゴリーにおいて「クラブライセンス制度」を2013シーズンから設けております。
クラブライセンスとは「クラブの経営基盤を強化することにより、競技環境、観戦環境、育成環境の強化・充実を図り」、「クラブが、日本のスポーツ文化を成熟させる『社会資本』としての役割を担うことを狙いとして、ドイツサッカー連盟が始めたこの制度をモデルにし運用が開始されました。

来年度にあたる2017シーズンの各カテゴリーのリーグ参加に当たり、前年の6月30日までに、つまり本日までにクラブより申請を提出することとなっております。

かねてよりブラウブリッツ秋田はJ2、J1昇格を目指している中で、来シーズンからJ2での活動をするためにも、競技成績はもちろんですが、その前にJ2ライセンスの取得をしなければ成績を残したとしても昇格は出来ませんし、入れ替え戦にすら出られない状況です。

そういった中で、ライセンス条件の5つの項目に我々を照らし合わせ考えても、現段階で申請に踏み切っても承認がおりないと判断し、今回のタイミングでの申請はしないことをここにご報告いたします。

その理由をご説明いたします。
先ほど申し上げましたJ2ライセンスの条件にこちらの5つの項目があります。
先般Jリーグとの話し合いでこの5つの項目に我々を照らし合わせ見て頂いたところ、大筋「競技基準」「人事体制・組織運営基準」「法務基準」「財務基準」については、大きな問題はないであろうとの見解でした。もう一つの「施設条件」だけが現段階ではクリアできる見込みがない状況となっています。

皆様のお手元にクラブライセンス要項内に記載されている施設条件について、Jリーグ規約のスタジアム要項を抜粋させていただいたものがございます。

大きなところで言いますと、まず10,000人という入場可能者数もそうですし、照明装置もそうです。付帯設備に関しましては室内ウォームアップエリアや大型映像装置など、現あきぎんスタジアムでは足りないものばかりとなっております。

ここまでが申請はしないことの説明となります。

次にクラブとしてこれまでそして今後このスタジアム整備を実現するための取り組みについてご説明いたします。

クラブとしましては、これまでも全国各地で広がるスタジアム整備について、県や市の担当課に情報を提供してきております。
そういった中で、昨年5月に完成したばかりの南長野運動公園総合球技場に秋田県スポーツ振興課・秋田市企画調整課の皆様とも視察に行っております。
また、今後に関しても現在秋田市議会スポーツ議員連盟の皆様におかれましては、7月20日に同じ雪国である北海道のコンサドーレ札幌のホームスタジアムとなっている「札幌ドーム」へ視察に行く予定となっております。
この視察については、20日にJ2の北海道コンサドーレ札幌vs松本山雅の試合を視察し、地域の盛り上がりを体感いただくとともに、3日後には日本ハムファイターズの野球の試合が行われるため、21日にはグランドの入れ替え作業を見学する形となっております。札幌ドームは野球やコンサートが行えることはもちろんですが、サッカーを行う際は外からサッカーグランドがスライドされ一つの施設で様々な活用がされている先行事例になります。こちらについては私も同行致します。

また、秋田県スポーツ振興議員連盟の皆様にもそういったスタジアムへの視察について現在検討していただいております。

クラブとしては日本のみならず海外の先行事例の情報を提供し、秋田県の取り巻く社会環境の中で市民県民の皆様はもちろん、行政にとっても誰もが幸せになれるようなスタジアムを提案していきたいと思っております。

先般私は自分の故郷である鹿島アントラーズのホームスタジアムに視察に行きました。
このスタジアムは1993年のJリーグ発足時に建設されたスタジアムですが、着工から竣工まで約1年という異例の工期で完成されているほか、2002年の日韓W杯の前に4万人収容へと改修され、今では2億円余りの維持管理費の3/4にあたる1.5億円をスタジアム事体の収益で賄っている公設民営の本来像を示したスタジアムです。自治体負担は5千万にとどまっています。そこには市民の様々なニーズが集約され平日でも人が通い、スタジアム事体が地域にとってかけがえのない存在となっておりました。

今後日本のみならず海外の視察も視野に入れ、様々な先行事例の情報を集約し秋田にとって最適なものを提案していきたいと思っております。
勘違いしていただきたくないのは、我々が考えているのはサッカーだけのスタジアムではありません。あらゆる関係団体とともに進めて参りたいと考えております。

そのためにも、やるかやらないはその後の議論として、まずは作るとすれば「どこに、どのようなものを、どういった規模で」といったことを検討をしていかない限りは何も始まらないと思っております。

地方創生と騒がれている中、全国ではスタジアムを基軸とした街づくりが議論されています。
人口減少など様々な社会問題を抱える秋田において、その解決に向けた起爆剤になり得るこのチャンスを本気で検討して頂けるよう、先ほど申し上げました通りまずは検討していただくテーブルとして検討委員会の立上について県と市に今後も働きかけて参りたいと思っています。

先日県議会の方でも、県議会議員の方々から質問がありました。佐竹のりひさ秋田県知事定例記者会見では「観客動員も、どんどん多くなって強さが引き続いて、その上に行く可能性があれば、何とかやってやりたい」、穂積市長の定例会見でも「成績がいいこと。そしてまた観客動員数等、県民、市民の盛り上がりが欠かせない事業だと考えている。今後、県とも相談会を持ちながら、今後のあり方について研究したい」と話されておりました。

おっしゃるように、まずは我々が結果で示すことが必要だと強く感じています。
このように県議会や市議会でも話題となったのも、我々の昨年からの快進撃、そして今期開幕からの11戦負けなしの「勝利」が議論を巻き起こしました。
この勝利をするためにはクラブとして更なる営業努力が必要だと感じています。もっと言えば経営基盤を大きくしていかなければなりません。お手元に我々の発足からの営業料収入と広告料収入の推移、スポンサー・法人協賛社の社数の推移を示しております。ご覧の通り、お陰様で年々増加の一歩を辿っており、その結果が成績へとつながっている次第でございます。

現状ブラウブリッツ秋田が6位という成績となっている中で、できる限り上位の数字に近づけることが、まずはJ2昇格のための近道でもあると思っております。ここ3試合連敗を喫しておりますが、まだ14試合が終わったばかりであり、首位との差も勝ち点6というまだまだ小さい数字で、手が届く範囲です。今週末でシーズンを折り返しますが、週末の試合を含め後半に向けて引き続き「勝利」に向けてクラブ一同そしてサポーターの皆様と一緒に邁進してまいりたいと思っております。

質疑応答

市議を他県の施設に案内するのか?

以前より検討をいただいていた中で、札幌ドームというお話をいただきました。私も北海道コンサドーレ札幌さんとはJリーグという関係性もあり、そういった中でご案内をしていきたいと思っています。一緒に同行させていただき、勉強をするかたちです。

成功事例を見て勉強する、ということか?

私もカシマスタジアムを視察して、成功の事例だけではなく失敗談を教えてほしいと伝えました。先代が残したこと、やってきたことは財産だと思っております。失敗も含めてあらゆる情報を我々が知り、最適なものを秋田なりに落とし込んでいくことが大事だと思っています。

J2ライセンスの提出は、最短で来年の6月30日の前に出したいという気持ちか?

その通り、最短であれば来年の6月30日には出したいと思っています。ただ、その上で来年度の予算に基本設計・実施設計と言った予算を組み込んだ中で着工が始まり、開幕前に竣工していなければ、2018年からの我々のJ2での活動というのはできないということとなりますよね。

市議会と県議会の視察は別か?

別となります。できれば海外視察をしてほしいと思っています。

陸上競技場ではだめなのか?

今の国自体の考え方自体が変わってきています。今まではスポーツというものが体育の延長としてとらえられており、スポーツでお金を稼ぐということは日本の中ではあまり受け入れられないということがありました。ただ、海外ではスポーツは産業化されています。日本もスポーツ庁ができ、今自治体が抱えている陸上競技場や体育館などの施設は費用しか発生していないコストセンターだという考え方を、収益を生めるプロフィットセンターにし、そのためにはどういったことをクリアしていかなければならないのかという考え方に変わってきています。
例えば都市公園法が収益の妨げになっていたりなど、法律的な課題もあります。2020年の東京オリンピックの開催を機に、国自体の考え方が変化しているのが実情です。そういった中で、見る環境を整備するというのはJリーグが兼ねてより訴えていることです。より地域にとって必要とされるものであり、スポーツ産業を発展させるためにもという観点からは、Jリーグもスタジアム整備について陸上競技場ではないという意向を示しています。ただ、他クラブを見ると、例えば現在J3首位の鹿児島ユナイテッドでは、陸上競技場施設で基準を満たしていないにもかかわらず、本日J2のクラブライセンス申請を出すということでした。その狙いの詳しいことはわかりませんが、鹿児島の陸上競技場には屋根の条件等が整っておらず、他にもいろいろと足りないものがあると思います。申請し判断が出るまでの残りの半年で行政が動いてくれると期待をしているのでないかと思います。大規模改修ではなく、少し改修をすればという規模ですからその可能性はあるのかなと思っています。ただ、八橋運動公園陸上競技場については以前Jリーグにも視察に来ていただきましたが、簡単な改修で済むものではありません。そういったことも踏まえ、総合的に考えて陸上競技場で進めるというのは勧められないというのが、Jリーグの見解です。
陸上競技場はその名の通り陸上競技場です。運よくサッカーグランドがあの中に入ってしまったから今でもそういった施設がありますが、わかりやすく例えるならば、歌舞伎役者が体育館で歌舞伎をしたり、映画を体育館で見たりというイメージです。できなくはないですが、本当の感動やもう一回行きたいという気持ちを生み出すためには、見る環境言わば無頼装置が大事だというのが今のJリーグの考え方ですし、国もそういった方向にあるということです。
これは地方創世という考え方で、スポーツ施設に対する国からの補助も変わってくると思います。それを見込み、できたときに申請をしても遅いですので、今の段階でどこに、どういったものをつくるのかという議論から、進めておくべきだと思います。

あきぎんスタジアムではなく新スタジアムということか?

改修でもできないことはないです。あそこで、1万人も1万5千人収容の施設も設計が可能です。そこで、プロフィットセンターをつくることも考えられなくもないです。ただ、改修となっても、新設となっても同じような費用がかかりますので、全ての幸せのためには新設の案の方がいいのではないかと思います。ただ、私の財布から出すわけでもないので我々だけで判断できるものでもありません。本当にいいものをつくるときに、こういったものがいいのではないかという情報を提供していきたいと思います。

海外のスタジアムとは具体的に?

ドイツは参考になると思います。Jリーグ自体がドイツをモデルに作っていますし、クラブライセンスもそうです。「ゴールデンプラン」という言葉があります。「健康は人にとって黄金のように尊い」という意味で、スポーツをいつでも、どこでも、だれとでも、という施設をしっかりつくっていこうということでした。さらに時代は進んで、施設を行政だけが負担しているのではなく、収益を生み、独立したスタジアムをつくるというのが現在の考え方であり、日本の10年20年先を進んでいるイメージです。
ドイツだけではなく広い視野を持って各クラブのホームスタジアムを視察しにいきたいと思っておりますし、Jリーグもサッカーという横のつながりで多くの情報を持っていますので、他県、他クラブだけではなく海外のものも取り入れていければと思っています。

順位については一つでも上に行きたいというところか?

本日、チームの監督はじめ選手らにも今回の件について説明をしました。伝えたことは先ほどお話ししたものと同じですが、こういった議論を起こせたのは全ては「勝利」がなければ何も始まらなかったということを伝えました。一般の市民、スポンサーの皆様に「勝たなければ何も始まらないよ」「勝たなければ人もお金も集まらないよ」ということはよく言われました。その言葉に、今までは悔しさもあり、また選手のひたむきな姿をいつも見ているからこそ「そんなに簡単ではない」と思っていましたが、ただこういった中で動き出したのも本当に「勝利」という部分が全てだと改めて思ったしだいです。実際、今いる選手たちはこのままブラウブリッツ秋田でJ2に行けるとはおそらく思っていないでしょう。彼らは、プロの選手で自分たちのキャリアUPや個々の幸せを追求することを考えたときに、クラブの勝利が最大の近道だと思っていますし、一選手として、一プロとして、秋田でこの議論を「勝利」を重ねることでしっかり動かして、スタジアムが軌道に乗るといったことをやったという結果が、自身へのJ2クラブ、J1クラブからのオファーにつながると思っているでしょう。ですので、勝利のプロセスをもう一度選手に話し、勝利への執念やこだわり、自分たちはとにかくやるしかないということを話してきました。おっしゃるように一つでも上の順位に行くことが、今できる我々の最大限の努力だと思っています。

スタジアムのサッカー以外の使われ方は、どんな風に考えているのか?

フットボールというくくりで考えるとラグビーもそうです。運がいいことに2019年にW杯が日本でありますし、秋田はラグビー王国としても有名ですので、開催は厳しいにせよキャンプ地には手を挙げるべきだと思っています。そのためにもしっかりとしたスタジアムが必要ですよね。あとは、コンサートもあります。コンサートをやったら芝生は使えなくなってしまうというのが従来でしたが、カシマスタジアムも含めて芝生をカーペットのように張り替えるとことが研究されています。そして、それが地域へ新たな雇用を生み、産業にもなっているのも事実です。
また、私がかねてからやりたいと思っているのが、秋田だからこそ健康を発信できるようなスタジアム作りが必要だと思っています。秋田で考えると12月からの4ヶ月間は外でのランニングやウォーキングが難しくなっています。一日多く歩く人と歩かない人では病気の発症率が違うというのが国内でも海外の研究データにあります。これは個人医療費の削減につながりますし、ひいては自治体医療費の削減にもつながります。コンコースと呼ばれるスタジアムの通路をインナーコンコースにし、タータンを引くことで、天候を気にすることなくランニングなどが楽しめます。女性は仕事を終えた方が夜でも安心して歩けるような施設ができれば、健康の発信は十二分に可能かと思っています。そういったいろいろなものを複合的に組み込んだ施設が、今後の人口減で税収が下がっていくことが見越される中でのスタジアムのあり方だと思います。

カシマスタジアムの収益構造は?

鹿島アントラーズの支払う使用料が大きいです。また、スポーツジムもありますし、エステもあります。夏にはビアガーデンを開催ています。スタジアムの施設内にはアントラーズクリニックというスポーツ整形外科があり、スポーツ界のネットワークを使い、最新の医療を地域に届けています。

検討委員会の働きかけは?

既に働きかけはしております。どういった形で文書として知事に持っていくかであったりを行わなければならないと思います。本日の配布資料に営業収入の推移がありますが、現在、法人協賛社が229社ある中で、今後はこちらを後援会という組織に確立させる予定です。そうした上で、後援会からそうした「声」を上げていただくなどできればと思っています。
委員会の立ち上げはいつ頃までにということは我々が決められることではありません。まずは、どこに、どいういったものを、どういうかたちで、どういう規模で、そうすることによってどういった効果が得られるのか、ということを検討しない限り、スタジアム改修あるいは建設のするしないの議論にもならないと思います。ですので、まずはそのための要望をしていきたいと思います。