高いレベルになればなるほど、観えない駆け引きが存在する。

今節のスターティングメンバーには司令塔である熊林に変わり鈴木(健)、左サイドバックに川田、そしてトップに松田が入った。またひと味違う展開に期待が懸かる。

相手は4-4-2システムにバランスを重視し、守備から攻撃のカウンターを意識してきた。
我々は変わらず常にボールを持ちゲームを支配するが、ギャップ(※1)にボールが入らない。

特に、前半の我々は相手を揺さぶるパスが多く感じられた。おそらく観客の皆さんにはネガティブにピッチ上が観えたのかもしれないが、私はそのようには観えないし思えなかった。

それはなぜか?

相手の2ボランチは献身的にバランスを取り、ギャップに入ってくるボールを奪いカウンター攻撃を成功させようと準備していた。

ボールは保持していながら相手の状態が良くギャップにボールを通しにくいならば通さなければいい。
二つ目の方法へ切り替える必要がある。

状態悪く無理してパスを意識し過ぎると成功率が低下し、相手にボールが渡ってしまう。だからといって楽な方を選ぶことでもない。全ては状況に応じた判断を瞬時に決定することだ。

最終的に相手は我々に動かされ運動量が落ち、バランスが崩れ失点をすることになった。

我々はフットボールをする。

今節は、チームとして身体的にも精神的にもリラックスし90分間を全うしたことが、勝ち点3につながったと思う。 クラブ、サポーター、ファンは忍耐強く共に闘った結果、この試合でも大きく成長した。

秋田スタイルを信じ共に闘おう。

※1:ディフェンスとディフェンスとの間にできる空間。

新里 裕之 ゼネラルマネージャー

2003年、ラモス瑠偉氏らと共にFC琉球を創設し、初代監督(選手兼任)に就任。翌年現役引退。
2006年、FC琉球 コーチに就任、2009年にはFC琉球 監督に。元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(現・FC琉球スーパーバイザー)とともにチームを指導した。
2012年にブラウブッリッツ秋田 ヘッドコーチとなり、横山雄次監督を支えた。
2013年よりブラウブリッツ秋田 ゼネラルマネージャに就任。

1980年8月29日生まれ、沖縄県出身。