1人少ないということを感じない試合だった。
前半立ち上がりは我々の主導権で始まったが、テンポがいつもと違った。ボールを横に動かしながらも相手のギャップを狙う「リズム」が一つ足りないような気がした。
中央スペースの選手の距離感、タイミングやコーチングなど判断するスピードもいつも通りではない。ただし、呼吸があいにくい状況でも、戦術としての全体の役割に関してはしっかりと絵になっていた。
今回は、中央のスペースの共有について話したいと思う。
我々は攻撃をする際、中央に多くの選手が距離感を決定し陣形を作る。その距離感で相手と駆け引きを繰り返し、忍耐強く90分を繰り広げる。
試合ではリズムよく相手をコントロールし中央から崩しにかかることもあるが、パスが相手に奪われても瞬時に守備(ボールを奪い返す)に入れるようにもなっている。
だが、今回の試合はカウンターを受けやすい攻撃の距離感であったり、サイドでボールを奪われた後のリスク管理など、少し意識的になる必要性があった。
前半終了後、ロッカールームでは選手同士が修正を話し合い、お互いの共通理解を深め、最後にジョージ監督から後半への意図が話されていた。
後半が始まり49分、いきなりの先制を許す。さらに、51分に新里にレッドカード、59分に松田の負傷退場。
後半立ち上がりからブラウブリッツ秋田に大きな試練と大きなチャンスが訪れた。
メンタル的に「ブラウブリッツスタイル」を継続させることができるのか?
交代で入った選手たちがこのチャンスをどのようにピッチ上で表現するのか?
大きな期待があった。
71分、初田の左足のゴールで同点。
退場した新里と負傷した松田への、すべての選手・スタッフからの大きなメッセージだった。最後の最後まで全力で走りきり、精神的に厳しい中ではあったがチームとしてまとまっていた。
時間がある限り最後まで諦めない、本当にすべてを出し切った試合だった。
試合結果は1-1の勝ち点1。全く問題はない。今、大事なのはチームとして90分間「自分たちらしさ」を継続することだ。
次の試合に対しても意味のある試合だった。
ファン、サポーターの皆さんにはいつも見守って応援してもらって本当に感謝してます。
秋田らしさを確実に創りましょう。今週は金沢戦、共に闘いましょう。
よろしくお願い致します。
新里 裕之 ゼネラルマネージャー
2003年、ラモス瑠偉氏らと共にFC琉球を創設し、初代監督(選手兼任)に就任。翌年現役引退。
2006年、FC琉球 コーチに就任、2009年にはFC琉球 監督に。元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(現・FC琉球スーパーバイザー)とともにチームを指導した。
2012年にブラウブッリッツ秋田 ヘッドコーチとなり、横山雄次監督を支えた。
2013年よりブラウブリッツ秋田 ゼネラルマネージャに就任。
1980年8月29日生まれ、沖縄県出身。