組織的に戦うチームには絶対的な指揮官がいる。
vs栃木ウーヴァ戦。
試合前のミーティングでジョージ監督がこう言った。
「常に我々のスタイルを継続し、素晴らしい戦いをしよう」
チーム全体で努力をすることなど、基準の設定をして選手たちをピッチへと送り込んだ。
前半から積極的にスペースをつくり、深みにボールが多く入り、リズムを作った。
ここ最近、リーグ戦を戦う中でチームとしての狙いや細かい部分の成功率が高くなってきた。
今節でも多彩なパスやスペースの使い方、タイミングの共有、瞬時な対応力が表現されておりチームとして成長してきていることが伺えた。
特にミドルゾーンでのボールの支配率は高くなった。常に数的優位を保ち、時間を有効的に使うこと。1タッチ、2タッチでリズム良くリラックスしてチーム全体で動くこと。そして、逆サイドへ展開してスピードを上げ、相手のゴールへ向かうこと。
いかにゴールを奪うシチュエーションが作れるかという点において、チーム全体のレベルが上がってきている。
この部分で大きな役割を果たしている人物がいる。熊林だ。
彼は、ピッチ上の指揮官である。立ち上がりや主導権を握った状況。チームバランスが不安定な状況など、ピッチ上で事細かな情報を把握し、選手たちに対して大きな役割を果たしている。
経験値の高い選手というのは大きな影響力を与える。
しかし、ゲームというのは常に良い状況が続くわけではない。
熊林も人間である。試合が流れるにつれて体力は減ってくるし、常に熊林が万全とも限らない。
これからの課題はもし、熊林や松田にゲーム中アクシデントが起きたら?
もし途中交代でピッチから離れた場合は?
スターティングメンバーに入っていなければ?
彼らのように経験値のある選手たちがゲームに関わっていない状況で誰がチームをコントロールするのか。
組織的に戦うチームにはピッチ上の指揮官が必要だ。
今の時点で選手1人1人が意識する必要がある。
そうすれば、90分間という時間をより安定して戦い続けることが出来る。
これから若い選手たちに大きな期待が持てる。
今節はゴールキーパーとして存在感を放った鈴木(彩)。最終ラインからのビルドアップで攻撃の起点となった初田。チーム合流から間もないが落ち着いたプレーを披露した島川の状況判断。熊林と新里のゲームコントロール。二戸、牧内のサイドのスペースを使うタイミング。半田、三好、前山が繰り出す流動的なコンビネーション。さらには、相手をプロテクトし確実なポストプレーで起点になる松田。
全てのプレーヤーが関わり、相手ゴールを奪うという「ブラウブリッツスタイル」はこの半年で浸透してきた。今ではJFLの全クラブが我々のスタイルを確実に理解している。このスタイルをより長く安定させることが我々の任務である。
後期での戦いは分析されるのは当たり前だ。しかし、我々は何ひとつ変えることなく進化し続けることしか考えない。
みなさんもチームと共に進化しましょう。「秋田」の誇りを持って。
新里 裕之 ゼネラルマネージャー
2003年、ラモス瑠偉氏らと共にFC琉球を創設し、初代監督(選手兼任)に就任。翌年現役引退。
2006年、FC琉球 コーチに就任、2009年にはFC琉球 監督に。元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(現・FC琉球スーパーバイザー)とともにチームを指導した。
2012年にブラウブッリッツ秋田 ヘッドコーチとなり、横山雄次監督を支えた。
2013年よりブラウブリッツ秋田 ゼネラルマネージャに就任。
1980年8月29日生まれ、沖縄県出身。