ピッチには両チーム以外に存在する「何か」がある。
町田陸上競技場-2年前にFC町田ゼルビア戦を戦った場所である。
スタジアム全体が大きく変わっていた。芝の質、メインスタンド、ロッカールーム、必要な物がすべて揃っていた。
FC町田ゼルビアというチームからその時点ですごく刺激をもらった。
選手たちはスタジアムに到着し、ロッカールームへ向かい準備をし、ピッチの確認へ向かった。再びロッカールームへと帰ってきた彼らの表情からはわくわくしているという感じを受けた。それはそうだろう。ピッチの中心から周りを見渡したとき、実に気持ちのいい環境だったからだ。
気持ちのいい環境は選手たちのパフォーマンスを上げ、観に来てくれているお客さんを喜ばせることが出来る。そういった意味では今回のゲームは選手たちにとってストレスのかからないゲームになると思われた。
第7節を終えて、スタイルが各チーム固まってくる時期である。
町田は「4-4-2のミドルサードの守備からカウンター攻撃に切り換えゴールに向かってくる。」我々の戦いに対して、どのような戦略を考えてくるのか非常に楽しみだった。
前半4分、オウンゴールでの失点。続けざまに9分の失点。
10分間で2失点。
選手たちはナーバスになるかと思っていたがそうはならなかった。
常に90分間を意識させ、高い集中力を維持させることを思い出させる。ジョージさんがテクニカルエリアで堂々と立っていたからである。
そこからは、秋田の主導権だった。
ただ、雨が降ってピッチはボールが滑るようになり、パスのタイミングが合わない。ボールを意図的に奪われるということではなく、自分たちの問題で相手の足元に入ることもあり、カウンターを仕掛けられる時間もあった。
そんな中での熊林親吾の一発退場。
2,481名のサポーター、ファンの目にはどのように映ったのか?
どのような状態でどのような意識を持ち、選手たちがピッチで競い合ってるか?おそらく良いゲームを魅せるために両チームは戦っていると思う。そのなかですごく疑問に残る瞬間だった。
ただ、レフリーからも1シーズン、そして1試合、必ず助けられることがある。それを考えるとお互い成長することを意識したほうが日本サッカーのためになるし、ブラウブリッツ秋田のためにもなる。
そのような、試合展開の中で11対10に。
ハーフタイム。ロッカルームでのジョージさんの一言。
「いつも助けられてる親吾のために、秋田の人たちのために戦おう。この状況をみんなで乗り越えよう。必ず成長する」
選手たちの目に、何かやってやろうという雰囲気が出来上がっていた。
後半1人少ない中、全力で立ち上がりからボールを奪い、自分たちのスタイルで戦った。体力的に落ちてくる前に一気に3人の交代。どのような状況でも引かないジョージさんは素晴らしい。リスクがあってもクラブのためにスタイルを維持してくれた。
試合は0-2。
負けはしたが、チームとしての力は出し切ってくれた。
私は選手たち。スタッフに感動した。
1人少なかろうがリードされていようが自分たちがひとつになって持っている力をしっかり出してくれた。
次につながるために精一杯出来ることをやる。それが納得につながる。今回もお互い素晴らしいゲームを披露したと思う。チームに関しては良い経験とより自信がついたことだろう。
日曜日のSC相模原戦はフレッシュな選手がメンバーに名を連ねる。どのポジションに誰を入れてくるのか楽しみだ。
日曜日の試合もぜひ、みなさんの力で選手たちを後押し、素晴らしい試合をみんなで創りましょう。
新里 裕之 ゼネラルマネージャー
2003年、ラモス瑠偉氏らと共にFC琉球を創設し、初代監督(選手兼任)に就任。翌年現役引退。
2006年、FC琉球 コーチに就任、2009年にはFC琉球 監督に。元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(現・FC琉球スーパーバイザー)とともにチームを指導した。
2012年にブラウブッリッツ秋田 ヘッドコーチとなり、横山雄次監督を支えた。
2013年よりブラウブリッツ秋田 ゼネラルマネージャに就任。
1980年8月29日生まれ、沖縄県出身。